ホイールとは

ホイールは車輪または車輪状のもので、歯車軸の回転をタイヤに伝える役割を担っています。

愛車のドレスアップやタイヤ交換の際に、純正ホイールから換える場合は、適切なサイズを選びましょう。ホイールがフェンダー(車体)から突出すると、タイヤがフェンダーに接触しタイヤが損傷する危険があるだけではなく、車検に適合しないなど法律違反になる可能性もあります。安全面からも法律を守るという面からも、ホイール選びは重要です。

ホイールのサイズの見方

ホイールのサイズは、ホイール本体の刻印やシールでサイズ表記を確認できます。
一般的にはホイールの裏面に表記されていることが多く、表面から確認できない場合は、ホイールを車体から外す必要があります。

社外ホイールやメーカー純正品を履いている場合は、購入時の書類でサイズが確認できます。また、純正のタイヤホイールを装着している場合は、車の販売店や車両メーカーで車種や年式、型式などからホイールサイズが確認できる場合もあります。


ホイール各部の名称 ホイールのサイズ表示
ホイール各部の名称 ホイールのサイズ表示

●リム径

タイヤを外したホイール単体の直径のこと。(フランジ部を除く)
ホイールのリムは外縁部分をあらわし、ホイールの外縁から外縁部分を計測した数値が「リム径」です。
リム径はインチ数で表示されています。1インチ=25.4mmなのでホイールのインチ数に25.4mmを掛けた数字になります。

●リム幅

タイヤをはめる部分のホイールの幅のこと。ホイールに記載されているリム幅の表示は、0.5インチ単位の設定です。
市販されているタイヤに適合できるようにホイールには、許容適合幅が設定されています。リム幅の適合範囲内に対応するタイヤを選択しましょう。

●フランジ部

ホイールとタイヤが接合する部分のこと。ホイールリムのフランジ部の形状には種類があります。
販売されているホイールのフランジ形状は、JまたはJJが一般的ですが、Bの形状も一部見受けられます。
フランジ形状は、フランジ部分の高さ・幅・厚みによって形状の違いがあります。たとえばJ規格の場合は高さ17.5mm、JJ規格の場合は高さ18.0mmです。

●ボルト穴数

ホイールを取り付けるハブボルトが入る穴の数です。ボルト穴のことを「ホール」と呼ぶ場合もあります。
ボルト穴数は車体の大きさによって異なることが多く、軽自動車や普通車の場合は4穴・5穴、タイヤサイズが大きいSUVは6穴が主流です。バスやトラックなどの大型車では、8穴や10穴もあります。

●P.C.D

Pitch Circle Diameterの略語で、ボルト穴の中心点を結んで描かれる円の直径を表し、単位はmmで表示します。
国産車の場合は、100mm・114.3mmが主流ですが、輸入車の場合はさまざまなP.C.Dがあり、車種により違います。
なお、異なるP.C.Dやボルト穴数に対応するために複数の穴が開いているホイールを「マルチピッチホイール」と呼びます。

●インセット

ホイール(リム幅)の中心線から取り付け面までの距離をmm単位で表す数値をいいます。
「インセット」「ゼロセット」「アウトセット」と3つの名称が使用されており、詳しくは次のとおりです。

  • インセット…取り付け面がリム幅の中心線より外側
  • アウトセット…取り付け面がリム幅の中心線より内側
  • ゼロセット…取り付け面がリム幅の中心線と同じ場合
従来はオフセットと呼ばれていましたが、JATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)が国際基準に合わせることを提唱し、2008年7月11日以降は「インセット」に名称変更されました。

インセットを変更すると、ホイールと車体との位置関係が変更になります。変更するインセットによっては、タイヤホイールがフェンダーやサスペンションへ干渉して、車の走行に支障を来す危険性があります。 インセットを変更する際には、希望するサイズや見た目のバランスなどを専門店に相談し、車の安全性を考慮しながら進めていくようにしましょう。


P.C.D(Pitch Circle Diameter) インセット
P.C.D(Pitch Circle Diameter)
ボルト穴の中心点を結んでできる円の直径
インセット
ホイールの中心面と取り付け面との距離

●品質基準マーク

国土交通省が定めた品質・性能について備えるべき要件の規程において、技術基準に準じた確認試験を行い、基準に適合した製品について表示するマークです。

【メーカー自主認定制】
自動車製作者及びホイール製造者自らが試験を行い、基準に適合(自主認定)した製品には、JWLあるいは、JWL-Tのマークを車両に取付けた状態で容易に確認できる箇所に表示することになっています。
●JWL(Japan Light Alloy Wheel) …「乗用車用 軽合金製ディスクホイールの技術基準」
●JWL-T …「トラック及びバス用軽合金製ディスクホイールの技術基準」

【登録制】
●VlA …国土交通省の定める技術基準に準じた確認試験を行い、自動車用軽合金製ホイール試験協議会規程に基づく判定と審査を行い、協議会規程に適合した製品が登録されます。VIA登録された製品に限り、VIAマークを表示することができることになっています。

品質基準マーク

JWLマーク JWL-Tマーク VIAマーク


ホイールの基礎知識

ホイールの適合サイズ

ホイールを変えるだけで同じ車とは思えないほど見た目の印象に違いがでます。ホイールは車体やタイヤサイズに合った適合サイズを選ぶことが重要です。

ホイールインセット値が大きくなるほど、タイヤとホイールは内側へと移動します。ホイールインセット値を誤ると内側に干渉して走行できなくなります。そのため、ホイールが取付する車両に対して適合していない場合、ホイールの取り付けができません。

ホイールインセット値が小さくなるほど、タイヤとホイールは外側へと移動します。従来は、タイヤとホイールがフェンダー内に収まっていなければ車検に合格できませんでした。しかし、平成29年6月22日に保安基準が改正されました。

現在では、はみ出しが10mm未満であれば問題ないとされていますが、安全面等を考慮してフェンダーからはみ出さない範囲での変更をおすすめします。


ホイールバランス調整

クルマが走行する上で、重心が中心にあることが非常に大切ですが、タイヤホイールは完全な真円ではないため、重り(バランスウエイト)を取り付けることにより、重心が中心になるように(真円に近づくように)修正します。この作業をホイールバランス調整と言います。

バランスが大きく偏っていると、走行中にステアリングが振動する、車体全体の振動する、直進安定性の低下、タイヤの偏摩耗など、安全性や走行性能・快適性が損なわれる原因になるので、タイヤとホイールのどちらかを変えた際にはバランス調整が推奨されています。
バランス調整はタイヤホイールセットを「ホイールバランサー」と呼ばれる専用の機械を用いて重さが偏った位置を確認し、必要に応じてバランスウエイトを取り付けることで行えます。


ホイールの材質

ホイールは車両の重量を支え、走行中の負荷にも耐えられる強度が必要です。またホイールはサスペンションよりも下に取り付けられる物で、バネ下に懸架されていることになります。一般的にバネ下の重量が軽いほど運動性能や応答性が良くなる傾向にあり、車体の軽量化よりも効果が高いです。

特にホイールは回転運動する関係上、軽量であるほど慣性力が小さくなり、加速しやすく止まりやすくなります。軽量化による運動性能への寄与度が高いため、可能な限り軽量化が可能な素材が求められるのです。

従来はスチール製ホイールが主流でしたが、現在ではより軽量なアルミを採用するのが一般的です。ハイパフォーマンスが要求されるシーンではマグネシウム、カーボンなども採用されるようになりました。
またアルミホイールも新しい製造法が考案されており、鍛造ならではの強度と軽量化を実現しながら鋳造のような自由なデザインが実現可能です。

構造も製造法や素材の見直しによって、デメリットとなっていた要素が小さくなり、選択の幅が広がるようになりました。今後は新しい製造法による量産化の流れも加速し、今以上に高機能高品質のホイールが流通しやすくなると予想されます。

●スチール(鋼)
スチール製のホイールは、プレス機による打ち抜きによって大量生産が可能です。価格が安価で、多くの車に標準装備として採用されています。
複雑なデザインが作れないため、ホイールそのものはディッシュタイプもしくはスポークタイプが多いです。またホイールキャップを使って見た目を変える場合もあります。材質としてはアルミよりも重たいのですが、剛性が高くて粘り強い材質なので、欠けや割れに対しては強いと言えます。

●アルミ
スチールよりも軽量であり、製造過程においても加工もしやすく、デザイン性も高いタイプです。素材としての熱伝導率の高さや、放熱性に優れたデザインを採用しやすく、ドレスアップ目的からスポーツ走行用まで幅広く採用されています。熱伝導率の高さや放熱性が優れることで、摩擦熱によって加熱するブレーキの冷却を促し、制動力の維持、フェード現象およびベーパーロック現象の発生率低下につながります。
製造法としては溶けたアルミを型に流し込む鋳造と、圧力を加えて成形する鍛造の2種類があります。
デザイン性の高さもあって、派生型も含めてさまざまなデザインのホイールが見られます。

●カーボン
炭素繊維(カーボンファイバー)をシート状にしたものを積層・成形して製造されるホイールです。アルミ以上に軽量ですが、製造コストが高く、主にハイパフォーマンスが要求される競技シーンでの採用例が多いです。

●マグネシウム
カーボン同様にアルミよりも軽量な素材として、ハイパフォーマンスが求められる競技シーンや、一部のスーパーカーなどでの採用例があります。ただし耐腐食性、防錆性、耐衝撃性に乏しく、なおかつマグネシウム自体が比較的燃えやすい金属ということもあり、取扱いには注意が必要です。