タイヤの種類

タイヤにはさまざまな種類があり、季節や用途に合ったタイヤを選ぶことが大切です。
このページではタイヤの種類を「シーズン別」、「機能別」、「構造別」に分けて解説します。

シーズン別タイヤの種類

サマータイヤ スタッドレスタイヤ オールシーズンタイヤ
サマータイヤ スタッドレスタイヤ オールシーズンタイヤ
新車に標準で装着されている
タイヤ(ノーマルタイヤ)
雪道や凍結している路面を走行するときに装着する冬用タイヤ サマータイヤとスタッドレスタイヤの特徴を兼ね備えた全天候型タイヤ
スタッドレスタイヤと区別するために、夏を意味する「サマー」と呼ばれていますが、実際は夏専用タイヤではなく、雪道以外であれば一年中利用できます。スタッドレスタイヤと比べると溝が浅いのが特徴です。 サマータイヤよりも溝が深いことに加え、タイヤのトレッド部分に「サイプ」と呼ばれる細かい溝が多く刻まれているのが特徴です。また、サイドウォールには「STUDLESS」と記載されています 様々な路面状況に対応しています。一般的な舗装された道路はもちろん、降雪量の少ない雪道なら走行できるほか、泥道などの悪路走行にも対応しているのが特徴です。
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車に装着されているタイヤは消耗品です。そのため本来の性能が発揮できる寿命や時期があります。夏はサマータイヤ(ノーマルタイヤ)を、冬はスタッドレスタイヤを使用し、季節に合わせて適切に履き替えることが大切です。
オールシーズンタイヤは、近年、第三の選択肢として、国内タイヤメーカーも展開を開始しています。

▶「オールシーズンタイヤ」について詳しくはこちら
※オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤではありませんので、凍結路面や過酷な積雪路面ではスタッドレスタイヤの使用を推奨します。

スタッドには、鋲(びょう)という意味があります。スタッドレスタイヤは、鋲がない冬用タイヤのことです。
かつての冬用タイヤは、鋲が打ち込まれたスパイクタイヤが主流でした。しかし、スパイクタイヤは、乾燥した道路を走行するとアスファルトを削って粉塵が発生するという問題点がありました。そこで開発されたのが「スタッドレスタイヤ」です。スタッドレスタイヤは、材質や構造を工夫することで、鋲を打ち込まずとも雪道や凍結路で安定した走行が可能となっています。
それぞれのタイヤには「ゴムの質・硬さ」「溝の深さ・太さ」「切り込み(サイプ)の多さ」に違いがあります。



機能別タイヤの種類

タイヤは車の走行性能を左右するパーツであり、車種によってその走行する目的やスタイルも変わってきます。
たとえば、街乗り中心であれば燃費性能や静粛性に優れたタイヤ、アウトドアで未舗装路を走るのであれば悪路走破性の高いタイヤなどが挙げられます。
また、サマータイヤは、クッション性があって柔らかい乗り心地と、コーナリング時の安定感などの違いから考え、自分の好みに合うタイヤを選ぶのがおすすめです。

低燃費タイヤ(エコタイヤ)

低燃費タイヤとは、低燃費性能と安全性能の基準を満たしたタイヤです。
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(通称:JATMA)が定めたグレーディングシステム「タイヤラベリング制度」で、転がり抵抗性能の等級がA以上且つ、ウェットグリップ性能の等級がa~dの範囲内にあるタイヤが低燃費タイヤと定義されています。

転がり抵抗性能が「AAA」「AA」「A」「B」「C」の五段階、
ウェットグリップ性能が「a」「b」「c」「d」の四段階にわけられています。

▶「タイヤラベリング制度」について詳しくはこちら

なお、低燃費タイヤには、「低燃費タイヤ統一マーク」が描かれているので、ラベルを確認すれば判断できます。
転がり抵抗を低減し、一般的なタイヤと比べて同じ燃料での走行距離を伸ばすことにより、燃費の向上を図っています。また、その結果ガソリン消費量の削減や、走行で発生するCO2排出量の削減などにも貢献しています。少ない力で転がり続けるように、転がる際の変形によって発生する熱エネルギーの発生を抑える工夫がされ、タイヤとしての寿命が長くなったのも特徴です。

※転がり抵抗 …タイヤの転がりやすさのこと。「転がり抵抗」が低いほうが路面との摩擦が少なく、同じ燃料でも「転がり抵抗」が高いタイヤよりも長い距離を転がることができます。


オフロード向けタイヤ

オフロードタイヤは深さのある凹凸が特徴で、砂利道や泥道、浅い雪道などでも走行できます。また、分厚いサイドウォール(タイヤの側面)は、外からの衝撃にも強いつくりになっています。

●「A/T」オールテレーン … どのような路面でも走行できる走破性の高いタイヤです。
オールは「すべて」、テレーンは「地形」を意味しています。オールテレーンタイヤを履いていれば、舗装された道路はもちろん、泥道や浅い雪道などの悪路もスムーズに走ることが可能です。ただし、マッドテレーンタイヤと比べると悪路走破性は劣るので、深いぬかるみや、深く積雪している道では使用するのは難しいでしょう。

●「M/T」マッドテレーン … 一般的なタイヤの溝よりも深く、泥道やぬかるみなどでも比較的安定した走行ができるタイヤです。
クローズドのオフロードコースを走行したり、雪道や林道などの悪路を走ったりする場合はマッドテレーンタイヤを選びましょう。

●「R/T」ラギレッドテレーン … マッドテレーンタイヤとオールテレーンタイヤの特徴を組み合わせてつくれられたタイヤです。
オフロードに対応した走行性能とオンロードでの走行性能と快適性の両立を実現。


コンフォートタイヤ

コンフォートタイヤは様々な路面や走行シーンを考慮して、タイヤに求められるあらゆる性能をバランス良く備えたタイヤです。
特に静粛性と乗り心地が良くなるように設計されています。タイヤによるクッション性と、ロードノイズの低下による乗り心地を重視したタイプです。こちらは高級車向けのタイヤですが、現在ではさまざまな車種で、コンフォートタイヤがラインナップされています。

タイヤのトレッドパターンはブロックは小さくなると、路面と設置した際の音が小さくなりますが、小さすぎると剛性が保てず安定性が損なわれてしまいます。そのため、安定性を保てる範囲でブロックを可能な限り小さくしたり、大きさの異なるブロックを配置して共鳴によるノイズを低減させたり、タイヤの内部にノイズを吸収するシートを配置したりなど、タイヤメーカー各社は様々な技術を用いて快適性を向上させています。
珍しいものでは、タイヤの内部に音を吸収する特殊なスポンジを装着しているタイヤもあります。


スポーツタイヤ

スポーツタイヤは、優れたグリップ力や高い安定性を持っているタイヤです。
タイヤ溝の面積が小さいため、路面との接地面積が増えてグリップ力が高いことが特徴です。
耐久性が高いことに加え、制動力および操舵性にも優れています。なお、安定性も高いことから、スポーツタイヤであれば、ワインディングロードなどでも安心した運転ができるほか、サーキット走行も楽しめるでしょう。

多くはスポーツカー向けモデルですが、一般道でもその高いグリップ性能による安定感ある走りをしたいという要望もあり、現在ではさまざまな車種向けのスポーツタイヤが販売されています。


ランフラットタイヤ

ランフラットタイヤは、パンクなどで空気圧がゼロになっても一時的に一定距離であれば走行できるタイヤです。
ランフラットタイヤはサイドウォール部に補強材となる硬いゴムを採用しています。これによりパンクによって、空気圧を失っても硬いゴムが支えになり、タイヤの形状を維持し、時速80キロで80キロの距離を走行可能です。ただし、サイドウォール部が硬いゴムで補強されているため、乗り心地も硬くなる傾向にあります。

ランフラットタイヤかどうかは、ISOのシンボルマークで判別できるほか、「215/55RF17」というように「F」が刻印されていることがあります。ただし、タイヤメーカーによって表記の仕方が異なることを留意しておきましょう。
なお、タイヤのラベルにRun Flat Tireの頭文字である「RFT」が記載されているほか、サイドウォールにも「RFT」と刻印されています。


シーリングタイヤ

シーリングタイヤはトレッド面内側に穴を塞ぐシーリング材が塗布されているタイヤです。突起物で穴ができても、シーリング材がその穴を塞いで修復し、走行の継続が可能です。ただし、シーリング材が塗布されているのは地面と接地するトレッド面だけなので、それ以外の部分にできた穴に対しては効果がありません。



構造別タイヤの種類

ラジアル構造

ラジアル構造

ラジアル構造のタイヤとは、タイヤの中心から放射線状(ラジアル状=Radial)にカーカスが配置されており、カーカスをベルトで締め付けて製造されるタイヤです。カーカス部分の主な原料はポリエステルであり、ベルトにはスチールが使われることが多いでしょう。
なお、ラジアルタイヤは、操舵性や安定性に優れていることに加え、耐摩耗性が高いことが特徴です。

※トレッド …タイヤが地面と接触する部分
※カーカス …タイヤの骨格、胴体部分
※ベルト …トレッドとカーカスの間にある補強帯


バイアス構造

バイアス構造

バイアス構造のタイヤは、カーカスが斜め(バイアス=bias)に配置されていて、ねじれが生じないように逆方向に複数枚のカーカスを重ねて製造されているタイヤです。バイアス構造のタイヤにはベルトの代わりに、ブレーカーと呼ばれるストッパーのようなものが装着されて、カーカスを締め付けています。
なお、バイアスタイヤは、低速や悪路走行の乗り心地がいいことから、大型車両やSUVで使用されることがあります。

※ブレーカー …トレッドとカーカスの間にある補強帯