Wineワイン

Sandro Fayサンドロ ファイ

1973年に「サンドロ」が実家のワイン造りを事業として本格化、設立したのが「サンドロ ファイ」です。ヴァルテッリーナの歴史「アール・エ・ペペ」の親戚にあたる一家で、重要な畑を所有しています。1998年には、息子のマルコ氏、娘のエレナ氏に引き継がれました。
マルコ氏はエリオ・アルターレやマコンのオリヴィエ・メ ルランで学び、保守的なヴァルテッリーナで独自の立ち位置を確立していきます。マルコ氏が強く意識しているのは標高の違いによる葡萄の特徴を活かしたワイン造り。葡萄の個性をそのまま表現することを理想としています。
●350m以下の畑では、夏の湿気は下部に溜まり、秋は冷気が下部にたまるので、葡萄の成熟に悪影響を与えることから、仕立をペルゴラにして日照量を確保。湿気と冷気の影響により果皮が薄く、収穫前に雨が降ると壊れてしまうため、早めに収穫し、アルコールが低く、タンニンも強くない早飲みタイプに仕上げます。
●450～600mの畑では、最高の日照量で芽ぶきも早く、時間をかけて成熟が行われます。果皮は十分に成熟し厚くなるため、タンニン、フェノール類の質が高く、葡萄の水分量も少ない、理想的なキアヴェンナスカが生まれます。
●600m以上の畑では、日照量が多いが高すぎる標高により下部と同じく冷涼な気候で、葡萄の成熟スピードは遅く進みます。湿気が無いため葡萄がカビに侵されることがなく、陰干しタイプのワインの製造に向いた地。最近では標高850mの畑にシャルドネも植樹し、寒暖差による引き締まった味わいの白ワイン造りにも挑戦しています。

彼等の畑は全てビオロジックが採用され、硫黄は使いますが、銅はほとんど使われていません。殺虫剤も使用しないので、毎年4月に葡萄芽を食べてしまう虫を夜間に手作業で取り除いています。これはサンドロ ファイに限らず、ヴァルテッリーナ全体で環境保全に取り組んでいることの1つです。ランゲでは温暖化が問題になっていますが、ヴァルテッリーナの気候は比較的寒く、真夏でも高温になることはあまりありません。標高4,000mのベルニーナ山からコモ湖に向かって吹きおろす冷気が、ヴァルテッリーナの個性を作っています。