Wineワイン

G.D.VajraG.D.ヴァイラ

当主であるアルド ヴァイラ氏は穏やかな性格の持ち主で、ピエモンテは勿論、他の産地の造り手からも慕われる人格者であり、ピエモンテを代表する醸造家としても常に高い評価を受けています。現在は息子のジュゼッペ氏が経営を担当、イシドロ氏がアルド氏の下で栽培・醸造担当としてカンティーナに参加し、家族経営を続けています。転機は大不況下の1986年。雹害でランゲ全域の畑が壊滅的な被害を受けたこの年は、多くのランゲの造り手達が、代々続けてきた農業を諦め廃業を選択していきます。ワイン造りを諦める事がでなかったアルド氏は、この不幸をチャンスと捉え、借金をして売りに出された畑を購入。重要な畑ブリッコ デレ ヴィオーレ、フォッサーティ、レ コステといった、バローロ村の優良畑を手に入れ、偉大な造り手へ成長していきます。

リンゴジュースはリンゴの味がするべきで他の味は必要ない。バローロを飲めばネッビオーロの味がするべきで、樽由来の甘味、タンニン、余計な香は必要ないと考えており、彼等のバローロは均整の取れた酒質で素直にフルーツを感じさせます。熟成と共に妖艶さを増していきますが、ネッビオーロらしさは決して薄れません。伝統派でありながらも革新的であることを目指しており、毎年100種以上の醸造を試し、その年の葡萄に合った醸造を模索しています。ネッビオーロはカベルネやメルローと違い、果汁自体にアントシアニンを含みません。果皮に多くの要素を持っています。だからこそ果皮の扱いが重要なのです。
最近では「サマージュ ド キャップ」という手法の採用したことで、ヴァイラは大きな変化をしています。この手法は、果皮をネットに入れて常に沈めておくことで、果皮を動かして刺激せず、粗いタンニンや雑味を抽出する事がなくなります。優しく柔らかい酒質が特徴のバローロ村の若く軽い土壌の個性をより強調する為に必要で、セッラルンガのような骨格や厳しさではなく、柔らかくしとやかな液体の中に繊細な複雑味や微妙なバランスを表現する、バローロ村のバローロを生み出しています。