タイヤのラベリング制度とは

タイヤのラベリング制度とは、一般般社団法人 日本自動車タイヤ協会(以下JATMA)が業界自主基準として策定したグレーディングシステム(等級制度)です。現在では2010年より開始されている燃費に関わる性能(転がり抵抗性能)と、路面が濡れた状態でのグリップ力に関わる性能(ウェットグリップ性能 )を表示する低燃費タイヤ等のラベリング(表示方法)制度と、さらに2023年1月より、新たにタイヤの車外騒音基準に基づく『低車外音タイヤ』の表示制度が始まりました。

低車外音タイヤとは

低燃費タイヤ等のラベリング制度

低燃費タイヤ等のラベリング制度は、消費者に対して分かりやすく、タイヤの性能をより適切な情報提供を行うことを目的としてJATMAが2010年1月より運用を開始した制度になります。「転がり抵抗性能」「ウェットグリップ性能」を、グレーディングシステム(等級制度)に基づき等級分けを行ないラベルに表示してます。

低燃費タイヤ等のラベリング表示
①転がり抵抗性能

①転がり抵抗性能

転がり抵抗とは、車体などが受ける空気抵抗、加速時に慣性力によって生じる加速抵抗、更にタイヤが受ける抵抗となります。 転がり抵抗係数はタイヤへの荷重に対する転がり抵抗の比率です。 この転がり抵抗係数の値に基づき、転がり抵抗性能の等級はAAAからCまでの五等級に分けられます。

転がり抵抗性能と等級

転がり抵抗の車両燃費への寄与

タイヤへの転がり抵抗が小さければ、それだけ少ない燃料で長く走ることができます。右の図はタイヤが実際の燃費にどのように影響を与えることになるのか試算したデータとなります。一定速度走行時には加速抵抗が減少するため、タイヤの燃費に対する寄与率が最も大きくなるが、一般市街地走行においてもその寄与率が7~10%となっています。 ここで、タイヤの燃費への寄与率を10%と仮定した場合に、転がり抵抗を20%低減したとすれば、自動車の燃費は2%向上することとなります。

転がり抵抗の車両燃費への寄与率
②ウェットグリップ性能

②ウェットグリップ性能

ウェットグリップ性能は、車路面が濡れた状態でのタイヤのグリップ力(制動時のグリップ力など)を示します。ISO 23671 に基づき基準タイヤ対比によるウェットグリップ指数を算出し、100倍した数値によりウェットグリップ性能の等級はaからdまでの四等級に分けられます。

ウェットグリップ性能と等級
③低燃費タイヤ統一マーク

③低燃費タイヤ統一マーク

①転がり抵抗性能がA以上かつ②ウェットグリップ性能がd以上のタイヤは「低燃費タイヤ」と定義され、低燃費タイヤ統一マークが表示されます。

低燃費タイヤの定義

低車外音タイヤのラベリング制度

低車外音タイヤのラベリング制度は、タイヤの騒音低減対策に自動車タイヤ業界の自主的な取り組みとして JATMAが2023年1月より運用を開始した制度になります。 タイヤの騒音低減対策として国際連合欧州経済委員会(United Nations Economic Commissions for Europe = UNECE)において策定された技術基準(UN R117-02)(※)が定める車外騒音基準値を満たすタイヤを「低車外音タイヤ」とし、その表示制度を定めることで低車外音タイヤの普及促進を図ることを目的としています。乗用車用タイヤ、小型トラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、それぞれの夏冬用の市販用タイヤが対象となります。

※ タイヤの騒音低減対策として国際連合欧州経済委員会(United Nations Economic Commissions for Europe = UNECE)において策定された技術基準
低車外音タイヤアイコン

以下に記載した、UNECEの「UN R117-02」に定めるタイヤの車外騒音基準値を満たしたタイヤは「低車外音タイヤ」の呼称やそれを表すアイコンが表示されます。
※車内静粛性を示すものでは ありません。

UNECEの「UN R117-02」に定めるタイヤの車外騒音基準値

dB(A)・・・ dB=デシベル(騒音レベルの単位)に、人間の可聴域や周波数の違いによる聞こえ方の違いを加味し補正した値
乗用車用タイヤの車外騒音基準値

「過酷な降雪条件下で使用するためのスノータイヤ」、エクス トラロードタイヤ、レインフォースドタイヤ、またはこれらの組み合わせについては、上記基準値を1 dB (A) 引き上げ。

小型トラック用タイヤの車外騒音基準値

※2 トクションタイヤとは、さまざまな状況において力の伝達をするために、主に車両の駆動軸に装着することを目的とした小型商用車用タイヤ又は中型・大型商用車用 のタイヤで、そのトレッドパターンが一定の技術的要件を満たしているものです。

トラック・バス用タイヤの車外騒音基準値

UN R117-02規制の対象外となるタイヤ(応急用スペアタイヤ、プロフェッショナルオフロードタイヤ等)は、当該制度の対象外です。