タイヤとは

タイヤは車の快適な走行をするために必要なパーツです。
現在のタイヤはさまざまな用途や種類に適した設計を取り入れたものが多く、乗り心地や走行性能を高める上でも欠かせません。

各種メーカーからさまざまな種類のタイヤが販売されていますが、車に適合する大きさやタイヤに求める性能などの違いによって、タイヤの選び方が変わります。

タイヤサイズの見方

タイヤサイズはタイヤの側面(サイドウォール)に記載されています。また、運転席側のドアを開いた部分にも記載しております。 ラベルが貼ってあり、タイヤの適正空気圧とあわせて純正タイヤサイズ(新車時のタイヤサイズ)が表示されています。まずは装着しているタイヤのサイズを確認しましょう。

タイヤの側面

タイヤサイズの表記
タイヤサイズの見方ですが、例として上記にある「235/50R18 101V」で見ていきます。
タイヤ幅が235mm、偏平率(タイヤの幅に対する断面長の比率)が50%、Rはラジアル構造のタイヤ、装着できるホイールのリム径が18インチ、ロードインデックス指数が101、速度記号がVとなっています。


サイズ表記について

タイヤサイズが表す箇所
タイヤサイズが表す箇所

●タイヤ幅(mm)

タイヤの幅を示します。

●扁平率(%)

タイヤの幅に対する断面高の比率を示します。

●ラジアル

タイヤの構造がラジアルタイヤであることを示します。

●リム幅(インチ)

そのタイヤが装着できるホイールのリム径を示します。

●ロードインデックス

規定の条件のもとで、そのタイヤに負荷できる最大負荷能力を示す数字です。

LI 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70
荷重(kg) 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266
LI 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80
荷重(kg) 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266

●速度記号

規定の条件のもとで、そのタイヤが走行できる最高速度を示す記号です。

速度記号 L Q R S H V ZR W Y (Y)
最高速度(km/h) 120 160 170 180 210 240 240超 270 300 300超

サイドウォール部の刻印について

●「ROTATION(ローテーション)」

タイヤの回転方向が指定されているタイヤに刻印されています。
書かれた文字と方向を示す矢印の方向がタイヤの前進方向になるように取付を行います。

●「INSIDE(インサイド)」
●「OUTSIDE(アウトサイド)」

非対称パターン(左右非対称なトレッドパターン)のタイヤの両面にそれぞれ刻印されています。
タイヤの内側には「INSIDE」、外側には「OUTSIDE」が刻印されているので、「OUTSIDE」が車両に対して外側になるように装着します。

●「M+S(マッド&スノー)」

雪道などでも走行できるようにアレンジされたラジアルタイヤ、主にオールシーズンタイヤに刻印されています。Mud(泥濘路)+Snow(積雪路)の略を表すマークで、ぬかるみや雪道での走行にも対応しています。

●「スノーフレークマーク」

欧州で冬用タイヤとして認められた商品に刻印されています。日本でもチェーン規制時に走行可能な冬用タイヤとして認められています。全車チェーン規制時にはいかなるタイヤもチェーン装着が必要となります。全車両チェーン装着規制に備えてチェーンを携行ください。



タイヤの基礎知識

空気圧について

車が安全かつ快適に走行できるよう、自動車メーカーが車ごとに設定している適正空気圧を車両指定空気圧と言います。

運転席側のドア付近に貼り付けられているシールや、自動車の取扱説明書などで確認できます。車両指定空気圧は「kPa(キロパスカル)」と「kg/cm2」の2種類の単位で表記されるのが一般的です。
たとえば「240{2.4}」と表記されていた場合、車両指定空気圧は240kPa{2.4kg/cm2}となります。装着するタイヤのサイズが同じであっても、装着される車種によって車両指定空気圧は異なる場合があります。これは車両指定空気圧が、タイヤのサイズだけでなく車ごとの重量や形状、バランスなども考慮して設定されているためです。

また前輪駆動車(FF車)や前後のタイヤサイズが違う車など、前後どちらかのタイヤに多くの負担がかかる車は、前輪と後輪で車両指定空気圧が異なる場合があります。

タイヤの主成分であるゴムの特性上、タイヤの空気は利用頻度に限らず1か月に5%程度自然に減少します。空気圧の自然低下を考慮した場合、車両指定空気圧を基準に0~+20kPaの範囲内で調整するのがおすすめです。
タイヤを良いコンディションで使用するためには、定期的なタイヤの空気圧管理が必要です。点検の頻度は1ヵ月に1回程度がよいでしょう。

また、タイヤのゴム素材を通り抜けにくい性質があり、空気が抜けにくいメリットを持つ「窒素ガス」の充填もおすすめです。窒素ガスの場合は温度差によっておこる膨張が少ないため、タイヤの空気圧変化による変形を抑えることができます。そのため、空気圧を追加で充填する頻度を減らす効果が期待できます。
窒素ガスは、通常の空気と比べ酸素量・水分量が極めて少ないため、タイヤゴムの劣化や腐食の進行を抑えると言われています。そのため、タイヤやアルミホイールの寿命を長持ちさせやすくなります。


タイヤの寿命と交換の目安

タイヤは走行時に摩耗して磨り減っていくことで消耗します。タイヤの寿命は、平均して4~5年とされています。ただし、使用状況や保管方法、点検、整備、管理の仕方で変動します。実際に、自分のタイヤがどれくらい摩耗や劣化しているかは、スリップサインを確認したり、ひび割れを発見したりと日々の点検に努めましょう。

タイヤには「スリップサイン」と呼ばれる摩耗の進み具合を示すマークが付けられています。新品時のタイヤの溝の深さは約8mmほどですが、タイヤがすり減り、溝の深さが1.6mmに到達すると、スリップサインとタイヤの表面の高さが同一になります。
スリップサインが出たタイヤで公道を走行することは、道路交通法で禁止されており、即時タイヤの交換が必要です。

また、スタッドレスタイヤにはスリップサインのほかに、50%摩耗したことを知らせる「プラットホーム」と呼ばれる突起があります。プラットホームの高さがブロックと同じ高さとなる時点が、スタッドレスタイヤの交換の目安となります。

タイヤの排水能力が著しく減少するのは残り溝が4mm以下となったタイミングからで、おおよそ50%程度摩耗した時です。理由として、4mm以下になると制動距離(ブレーキをかけてから車が停止するまでに走行する距離)が急激に大きくなってしまうことが挙げられます。

整備不良とはならないまでも、雨天の高速道路ではハイドロプレーニング現象よる事故のリスクが高まるので、残り溝が4mm以下となったタイヤは交換をおすすめします。また、製造から5年以上経過したり、偏ったすり減りやひび割れ、変形が見つかったら、新しいタイヤへ交換しましょう。

また、新しいタイヤは「慣らし走行」を必ず行いましょう。新品タイヤの表面には製造する過程で金型から取り出しやすくするため、また、品質保護という面からワックスでコーティングされており、それを剥がす必要があります。 また、タイヤのビード部とホイールのリムとがより密着し馴染ませるのにも慣らし走行は効果があります。夏用タイヤの場合、80km/h以下の速度で最低100km以上、冬用タイヤの場合、60km/h以下の速度で200km以上の走行距離が推奨されています。(メーカーにより異なります)


タイヤの履き替えと保管

サマータイヤからスタッドレスタイヤへの履き替えのタイミングは、凍結や降雪のある1ヶ月前に済ませておくことが理想です。

霜や雪の時期は住んでいる地域によって異なるので、気象庁の発表している気象データを利用するとよいでしょう。特に新品のスタッドレスタイヤは、タイヤの表皮を削ることで本来の性能が発揮できるようになるため、早めに装着して慣らし運転を終えておくのがベストです。

スタッドレスタイヤは低温でも柔らかさを維持できるゴムで作られています。そのため夏場の暑い時期に走行すると、タイヤが変形してグリップ力やブレーキ性能が落ちるだけでなく、タイヤがバーストする恐れがあります。夏場のスタッドレスタイヤの使用は危険性をともなうため、冬の時期を過ぎたらスタッドレスタイヤからサマータイヤに必ず履き替えましょう。

また、タイヤは車に装着して使用していない状況でも保管方法により長くご使用頂けます。直射日光や雨、高温多湿の場所を避けて保管することがポイントです。また、油も天敵なので汚れを落とす際に拭きとっておくようにしましょう。また、ホイール付きで保管される場合は、空気圧を半分程度に減らして保管することをお勧めします。


タイヤローテーション

走行環境や車の駆動方式などによって、タイヤの摩耗の仕方や進行具合がタイヤそれぞれで異なります。そこで、摩擦を均一化するために定期的にタイヤの装着位置を変えることを「タイヤローテーション」と言います。

タイヤローテーションの目的は、タイヤの摩耗を均一にしてタイヤの寿命を延ばすことです。たとえば、前輪駆動車はフロントタイヤが摩耗しやすいです。そのままの状態にしていると、フロントタイヤの寿命が先にきてしまいますが、タイヤのローテーションをおこなうことで、摩耗を均一化できるので、通常よりもタイヤの寿命を延ばせます。また、摩擦を均一化することで、パンクのリスクを低減したり、振動やロードノイズの発生を抑えられるといったメリットもあります。
走行距離が約5,000kmになったときや定期点検のタイミングでおこなうのが理想的です。

タイヤのローテーションをおこなう際は、タイヤの回転方向やタイヤ幅などのサイズ、ローテンション位置などを必ず確認しましょう。誤った方法でタイヤローテンションをおこなうとグリップ力や制動力低下につながるケースがありますので、注意が必要です。


タイヤの選び方

タイヤのサイズは新車で取り付けられているタイヤが基準になります。車種によってホイールサイズから異なる複数のタイヤが選択可能ですが、これらは車両との干渉が無く、タイヤの外形が同じで、スピードメーターに狂いが生じない組み合わせになっています。

どのタイヤが適合するのかを判断するのにわかりやすいのが、運転席ドア部にあるタイヤ空気圧のステッカーです。ここにはメーカー指定のタイヤサイズごとに空気圧の記載があるので、これを基準にタイヤサイズがわかります。また取扱説明書にも同様の記載があります。

一方で自動車メーカーが指定していないサイズのホイールとタイヤを装着する場合には、ホイールとタイヤメーカーの車種別適合表を確認しながら選びます。この場合は、空気圧も自動車メーカー指定の圧力とは異なる数値になることにも注意が必要です。




タイヤ選びの7つの基準

1.直進安定性

路面状況によるふらつきを抑えて、直進の安定性が高いかどうかがタイヤ選びのポイントです。とくにミニバンやハイトール型の軽自動車など、車高が高い車の場合、横風や路面の影響で直進時にふらついてしまうことがあります。
直進安定性の高いタイヤを選べば、ふらつきを抑えられるので、安定した走行ができるでしょう。


2.ドライ性能

ドライ性能とは路面が乾いた状態でのタイヤの性能のことをいい、舗装された道路の走行性能の高さもタイヤ選びの基準となります。とくに、発進、停止、曲がるの基本的動作の性能の高さはチェックしておきたいポイントです


3.ウェット性能

雨天時の走行性能のことです。高い排水性のタイヤであれば、雨の日も優れたグリップ力を確保できます。


4.低燃費性能

タイヤの転がり抵抗が低ければ、タイヤが転がりやすいので、エンジンが消費するエネルギーを抑えられて、燃費がよくなります。低燃費性能にこだわりたい人は、JATMAが定める低燃費タイヤの基準を満たしたタイヤを選ぶのがいいでしょう


5.ライフ性能

タイヤは消耗品なので、定期的に交換しなければなりませんが、できるだけ交換頻度を抑えて出費を抑えたい人も多いでしょう。少しでもタイヤの交換サイクルを減らしたい人は、耐久性や耐摩耗性が高いライフ性能に優れたタイヤを選ぶことをおすすめします


6.静粛性

タイヤの種類によって静粛性が大きく異なり、車内へのロードノイズの伝わりやすさが変わります。車に乗っている人の中には、ロードノイズが気になってしまい、運転に集中できなかったり、ドライブを楽しめなかったりする人もいるかもしれません。ロードノイズが気になるという人は、静粛性の高いタイヤを選ぶのがいいでしょう。


7.乗り心地

乗り心地がいいタイヤであれば、路面から伝わる振動や揺れを抑えられるので、快適なドライブを楽しめるでしょう。車酔いが気になる人は、乗り心地性能が高いタイヤを選ぶことをおすすめします。